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「電力・ガス基本政策小委員会制度設計作業部会
第八次中間とりまとめ(案)」への意見を提出しました

グリーンピープルズパワー株式会社(GPP)は、エシカルな電気をお届けする電力会社です。
2022年7月19日に「電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会 第八次中間とりまとめ(案)」が公示されました。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000238629
グリーンピープルズパワー株式会社は、代表取締役 竹村英明名でパプリックコメントを経産省に提出しました。(※読みやすくするために実際に提出したものに若干修正を加えてあります)

1、とりまとめの趣旨がわかるタイトルをつけるべき
この中間取りまとめには作業部会の名前と第八次であることしか書かれていない。日本では多くの審議会が毎月のように何かの取りまとめ案を作成・発表し、パブリックコメントも集められているため、これでは何のための中間取りまとめであるかを、一眼で世の中に伝えることができない。「わかりやすい」政治を目指すのであれば、中間とりまとめのような「エポック」の文書には、その趣旨がわかるタイトルがつけられて然るべきではないか。
例えば「新たな電力市場の整備について」の中間とりまとめという具合である。「新たな電力市場」では、卸電力取引所(JEPX)と紛らわしい。また、容量市場の不完全性を補う市場の整備であるとするならば、「容量市場を補う新たな市場の整備について」とする方法もある。さらに突っ込んで具体的な趣旨を示すとすれば、「新たな脱炭素電源への新規投資を促すための市場整備について」でも良い。このとりまとめが言わんとすることを一言で表すことが大事である。

2、グレー水素・アンモニアを認めるべきでない
この新制度は「脱炭素電源への新規投資を対象としており、エネルギーのベストミックスの観点から、多様な脱炭素電源の導入の促進を図ることが重要である。」と書かれている(3ページ)。しかし、対象には「アンモニア・水素混焼のための新規投資」以外のものが見当たらない。
アンモニア・水素には、化石燃料によって作り二酸化炭素の回収を行わないグレー、化石燃料によって作るが二酸化炭素の回収を行うブルー、再生可能エネルギー(以下再エネ)によって作るグリーンの三種がある。「とりまとめ」では、なんとグレーまで含むとされている。当面はグレー水素が大半で、供給網の構築と価格低下のためには必要だからだとしている(11ページ)。

各種の意味は以下の通りだ。この解説も「とりまとめ」には書かれていない。
グリーン水素:再エネの電気で水を電気分解して得られる水素。
ブルー水素:天然ガスや石炭等の化石燃料を、蒸気メタン改質や自動熱分解などで水素と二酸化炭素に分解し、二酸化炭素を大気排出する前に回収する方法。
グレー水素:水素生産プロセスはブルー水素と同様だが、ブルー水素と異なり、二酸化炭素を回収せずそのまま大気中に放出する手法。この方法では、水素の生産過程で気候変動を引き起こす。2020年時点で、世界で生産されている水素のうち約95%がグレー水素。

グレーとはCO2を出しまくる製造法ということである。それを脱炭素電源というには、いささか難がありすぎて国際的にも通用しない。

3、新たな脱炭素電源には再エネが含まれないのか
参考図9(14ページ)には、「電源種別・kW別の建設費の金額イメージ」という図がある。新制度の対象を10万kW以上とし、10万kW規模での各種別の建設費がまとめられている。太陽光発電(事業用)が172万円、水素発電が161万円で蓄電池が160万円となっている。では蓄電池だけ作れば良いかというと、蓄電池は電気を作らないので、一緒に再エネ発電を増やさないと脱炭素蓄電池にはならないことは明らかだ。同じように、水素も自然界に水素単体として存在しているものではない。どこかで水素を作らねばならないが、そのコストは含まれていない。161万円も現状水準に比べて極めて怪しい数字で、根拠データが示されるべきと思うが、そのことをおいても、この図が示しているのは、最も安いのは再エネであるという事実である。
その再エネ(太陽光や風力発電)を脱炭素電源としてどのように増やし拡大するのかという説明はどこにも書かれていない。書かれているのは、ブルーにするのかグレーにするのか、石炭は含めるのか含めないのか、石炭新設は含めるのか含めないのか・・、つまり石炭と水素・アンモニアの話ばかりである。
これでは、根本的な地球温暖化対策にはならないし、政府が掲げる政策目標(2030年に2013年比46%削減)も達成できないだろう。もう一度、脱炭素電源の定義を見直すことからはじめ、地球温暖化問題の解決にとって最も有効でかつ経済的にも有利な発電方法である再エネを重点的な脱炭素電源として選択すべきである。

4、電源確保名目で化石燃料を脱炭素電源と言い繕うべきでない
「とりまとめ」では随所で、現在の電力市場価格の高騰が発電所不足のように書かれている(2ページ、12ページなど)。しかしJEPXのHJKS(登録発電所)にはピーク需要を遥かに超える2.1億kWの発電所がある。この中には、総出力では6000万kWを超える太陽光発電はほぼ含まれていない。ピーク需要1.6億kWに対し、1.1億kWの発電余力があることが無視されている。
市場価格高騰は発電所不足ではなく、燃料価格の高騰とそれに伴う売入札方法の変更が引き起こしている。ピーク価格が時折高くなることよりも、最低価格が20円/kWhを下回らないことが、新電力を経営悪化に追いやっているものである。それを理由に、水素・アンモニア混焼の石炭火力、LNG火力を脱炭素電源と定義して、古い発電所をまたぞろ維持しようという政策が、この「とりまとめ」の真髄である。
これでは、長期的な電源退出という、こちらは実際に起こっている問題の対策にはならない。石炭やLNGの発電所をこれから計画し作ることは、2030年頃に稼働し、2050年頃まで運転しなければコスト回収できないことを意味する。2040年頃には国際的に禁止されるかもしれない電源においそれと投資はできない。それならば、古いものを回収して少しでも長く使おうでは、長期的な課題を解決していることにならない。行うべきことは、古い発電所を計画的に退出させ、送電網の権利を放棄し、再エネへの投資の道を拡大することである。

5、容量市場の廃止を明確にすべきである
「容量市場を補う新たな市場の整備」が必要になったので、新たな「長期脱炭素電源オークション」という制度を作るというのが「とりまとめ」の重要な趣旨である。これは裏を返せば、容量市場は当初の目的を達成できないものであるということである。容量市場は新電力各社から「容量拠出金」を供出させ、発電所側に「容量確保契約金」を支払うというものだ。すでにシステムの運用は始まっており、2024年には新電力側は総額1.6兆円という拠出金を効果もないのに召し上げられることになっている。
基本的に何の投資をするわけでもなく、ただその年度に発電所を持っていたらお金をあげようという杜撰な制度で、その意味で、新制度は少なくとも投資をすることが前提になっている。容量市場の失敗という反省に立って、新制度を考えたのであれば失敗作は取り下げるのが道理であろうと思われる。
放置すれば、2024年にまた多くの新電力の経営危機を招き、電力自由化のステージから退出させることになるかもしれない制度でもある。この新制度を打ち出すのであれば、「けじめ」をつけるべきではないかと思われる。

6、新たな総括原価方式になりかねない「事業報酬」方式
17ページの「入札価格のあり方」では、価格項目として建設費、運転費など5つの項目が上がっている。その中に「事業報酬」という項目があり目を疑った。全電源種一律に税引き前WACC5%を入札価格に折り込むことができるというものだ。これは平たくいうと、株主への配当や金利などを、ここでとって良いということになる。配当や金利は事業成績の結果に対して発生するものだが、それを先取り利益のように上乗せすることを認めるということだ。しかも、この金額は新電力への「容量拠出金」としてこれまで通り徴収される。
既存の容量市場でも、目標調達量の指標価格(Net CONE)の算出の際にも税引き前WACC5%がすでに加算されており、それを踏襲するような記述がある。新電力の中には、自己の供給能力確保義務を自己の調達能力でカバーしている事業者もある。それでも現行制度では、それがFIT電気で100%の場合、市場価格での支払を求められるのだが、容量市場の電気を必要としていない。容量拠出金方式は、そのような新電力にも、発電設備保有会社の税引き前WACCまで上乗せされた拠出金を徴収される。
新電力側にそんなものは買わないという自由が許されているのであれば、このような事業報酬の上乗せも許されるかもしれないが、自由がない制度の中で、一方的に支払わされるというのは、新たな総括原価方式の復活と言えなくもない。独占禁止法上も許されない、優越的地位の濫用に該当する恐れもあり、この制度は見直されるべきである。

7、参考図1は右側の図のみに変更すべきである
4ページの参考図1は「現行制度における脱炭素電源の固定費の回収イメージ」というタイトルがつけられているが、「電源の固定費」とは違う数値が入れられている。参考図9との整合性もない。
左右に二つの図があるが、右側が「回収イメージ」の図であり、左側は出典もよくわからない「電源種毎の固定費を調整係数で割った値」となっている。調整係数については24ページに記述があるが、要は一部の電源種(太陽光、風力、一般水力(自流式)、揚水)について調整係数を設定したと書かれているのみで、その数値も根拠も示されていない。
明確なことは、この図の数値が固定費ではなく「固定費を調整係数で割った値」ということである。固定費の回収イメージをうたいながら、「調整係数で割った値」をさも固定費であるように示すこの図は、事実を反映したものではなく読み手の判断を誤らせる可能性がある。このような紛らわしい図の使い方は改めるべきである。

8、長期的に本当に有効な制度設計を
「とりまとめ」の目的は、我が国の将来の電源構成を脱炭素電源中心とすることを前提とした電源確保のプランを提示することである。いたずらに古い電源を「水素・アンモニア混焼」にしても、この目的はほとんど達成できない。
すでに老朽化した電源は、早急に電源構成から退出できるように、代替の再エネ発電所の計画を立てること、それにより必要となる調整電源としての化石燃料火力を定めることである。そのプランの上で、調整電源が足りないというのであれば、調整電源として新設のLNG火力を認め、調整電源としての限定的運転を認め、その対価は市場価格とは違う特別な価格とするということであろう。
日本での再エネは、まだ潜在能力の10分の1も開発されていない。逆に10分の1を開発するだけで日本の大部分の電気が賄える。確かに気象の影響を受ける自然変動電源(VER)であり、それだけでは日本の電気を全て賄えないように思われるかもしれないが、蓄電池、揚水発電、フライホイールなどの電力供給の平準化システムを組み合わせることで、日本の電力需要の100%をカバーした上で、熱や移動の分野までグリーンな電気がカバーすることは可能である。
そのような観点に立った、制度設計を改めて求めるものである。               以上

竹村への取材は随時受付けております。
どうぞご連絡ください。

グリーン ピープルズ パワー株式会社
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